釣り


誘われて、昨年から釣りをするようになった。

相方は小学生のころに大きくなったら釣り師になりたい、と文集に書いたほどの釣り好きで、漁師になることも考えたという。子どものころ8時間かけて自転車で釣り場まで行っていたほどだ。

私の釣りはというと、リールに糸を巻き、竿に糸を通し、釣り針に糸を結え、餌をつけるところまで、御膳立てしてもらった上での釣りなので、自身で釣りをしているとまではおこがましくて言えない。だが、ぎこちなくも竿を振ってヒュンと音を立て重りが海面に落下していくと、ワクワクするのだ。

グイと竿先にあたりがあると、またテンションが上がる。といってもなかなかあたりは簡単ニこない。クサフグやヒトデなどがひっかかってくることもたびたびあり、そのたびに落胆するのだが、キスやガシラをあげるとまたもう一投となる。そして時間もあっという間に過ぎていく。

ときどき付近に棲む猫が近づいてくる。相方が釣れた魚を投げてやると、近づいて咥えていく。

釣れた魚はリリースすることもあるし、持って帰ることもある。持って帰った魚は、相方が捌く。最近小型の出刃包丁を買ったらしい。器用に丁寧に捌き下処理をして冷蔵庫に置いておく。寝かせた方が美味しいそうだ。

亡くなった叔父の遺品の竿を相方に見てもらったことがある。父は全く釣りをしないし、他の叔父もしない。竿をどうしようか、父が相談してきたとき、相方に見てもらうことにしたのだ。相方は、竿の種類を見て叔父がチヌ釣りのマニアだということを指摘した。かなりあちこちで釣ったのではないかと。父も私も叔父にそんな趣味があったとはまったく知らなかった。竿は古くてもしかすると使えないかもしれないが、糸をつけてみようとうなずいた。そして、叔父への供養になるねと。

以来、相方は一度だけでなく時々叔父の竿に糸を通している。何か思うことがあるのだろうか。私はあえて聞かない。

才能あるよと言われ、調子にのって私も時々釣りについていく。煽てられているとはわかっているが。海の風に吹かれ、海の中の魚を思い、遠くにいった叔父のことを時々思い出しながら、私も釣り糸を垂れる。

コメント