【読書】11月は粘った〜ハンナ・アーレントに食らいつく

7月に購入してからもう5ヶ月経ってやっと読了。
今年の37冊目は、本書。
言わずと知れた政治哲学者アーレントの名著。
ギリシャの時代から20世紀に至るまでの人間の条件を、労働、仕事、活動の3つの軸から考察した。

哲学が衰退し、科学が進化する中で、人間が環境を変えることができると「認識」することから、人の生命としての地球上でのありさまが変化してきているとアーレントはいう。
そこから感じられるのは、人がコントロールできないものを生み出した、すなわち原子力の存在。

また、労働を人は避けるべきものから、進んで労働従事し、優位していく、その帰結は過労死の現代日本社会を想起させる。労働(賃労働)が人間の活動のベースとして考えるのは、果たして真理なのか。

世界のリアリティとはどこにあるのか。人間はすでにそれを喪失しているのではないか。そんな問題を突きつけているのではないか。

現代はITC、IOT、AIによって「最先端」の技術が人間の経済活動を牽引していると言われる。しかし、人間の知恵はそれに追いついていない。
2名が乗車する車が橋の上で10名が乗車するバスにぶつかりそうなとき、もろとも衝突するのか、2名乗車の車が川に転落して10名を救うのか、どうか。その判断をAIにどうプログラムするのか。果たして人間の「判断」とその帰結の行動とは?
現代社会の先端と根っこに深い洞察を与えてくれる書でした。

最終章は特に難解で再読必須です。




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