【読書】9月はポップな気分で

ハンナ・アーレントの本に取り組みつつ、少し横道へ逸れてみた9月の読書。
暑さが少し一段落してページをめくるのも軽快な気分で。

34冊目
二宮敦人『最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常』新潮社、2016年
購入して繰り返し読みたくなるほどではなさそう、と思い図書館で予約したら、なんと半年かかってようやく私に回ってきました。
著書の二宮さん、なかなかの筆力。行ったことのない藝大のイメージがとてもよく浮かびました。
私の「ふつう」がなんとも小さく見えました。突き抜けるということはこういうことかと思い、割と常識的なあたりを生きてしまう私は羨ましさしきり。残りの人生は思うように生きぶっ飛びたいと意を強くしました。

35冊目
上橋菜穂子『鹿の王1』角川文庫、2017年
普段あまり手にしないジャンルの本をと、たまたま新聞書評で目に入った本屋大賞に選ばれた作品を読んでみることにしました。
冒険物語ですが、勇者が活劇を繰り広げるという感じではなく、ファンタジーに近いかも。架空の国や架空の動物が登場する不思議な世界。あっというまに1巻を読んでしまいました。さて続きはどうなるやら?

36冊目
平野啓一郎『マチネの終わりに』毎日新聞社、2015年
2年ほど前から読んでみようかと思ってはいた本。「こんな恋愛してみたい」なんて帯に書いてあるものだから、恋愛ものが苦手だけど、平野ファンの私としては読んでみようかどうしようか逡巡していました。
恋愛経験がほとんどなく、かつへたっぴな私としてはもっとも苦手な分野だけれど、もうちょっとうまく愛することができようになるかも、と思い手にとったのです。
主人公のギタリストの男性、彼が一目で恋に落ちる年上の女性。世界観、思想、アートへの美学を共有できる女性として深く繋がりたいという思いが双方に生まれるけれど、ちょっとしたアクシデントと誤解で、結ばれない。他方で、想いをもって男性をずっと支えてきた身近な女性が男性を「獲得」してしまうという筋。
状況はかなり異なるものの、自分も似たようなシチュエーションに陥ってたんじゃないかと思い出し、思わず涙が溢れそうになりました。
作品全体としては、男性視点だなあ、という感は若干ぬぐえないのですが、男性側と女性側の心理をよく描いてると思います。言葉の選び方もさすが平野さん。
思わず意味を辞書で引いてしまった難しい言葉もありました。
知的にも、感情的にも、そして恋愛的にも鍛えられるいい本でした。多分また繰り返して読むと思います。

さ、この3冊に加え、7月からのハンナ・アーレント『人間の条件』は第5章「活動」に入りました。

10月いい季節ですね。読書が進みそうです。
鳴門から内海を眺める

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